赤Tシャツ

赤Tシャツが届いた!

ゆーわんのこの満面の笑みを見て、やっと1年前のやり直しが出来たんだな…と思えたこの日。

KCEに来たのは半年前。

それ以前ゆーわんは別の団体にいました。

英語と歌とダンスを同時に学ぶその劇団に4歳の時から所属していたゆーわん。

誰よりもその劇団が大好きだったゆーわん。

いつも楽しく、歌ったり踊ったりしていた、本当に楽しい日々だった。

だけど小学校へ上がり、2年生になり、少しずつ色んな事が変わり始めました。

小学2年生になったと同時に残酷なクラス分けがスタートし、3年生になるまでの1年の間に上手な子のクラスとそうでない子のクラスに分けられるのです。

可愛がってくれた先輩たちや仲の良い友達が次々に上のクラスへ上がっていく中

「自分も上のクラスへ行くんだ」

と、毎週末7時間ものレッスンをし、レッスン後に自主練をし、更にフォローレッスンとしてアクロバット教室やボイトレにも通いました。

英語と歌は得意だけれどダンスの苦手なゆーわんは、2年生になってからは平日どんなに疲れていても毎日必ずダンスの練習もしていました。

必死で振付を覚え、毎日毎日頑張って踊っていたゆーわん。

その甲斐があってか、3年生になる直前のクールでは主役に選ばれ、ソロの振付も1番に選ばれ、1列目センター割の立ち位置も取り「もう絶対大丈夫」と思えるところまで頑張りました。

だけど、3年生に上がる直前、最後のクラス分けでまさかの下のクラスへの配属…

いつも真面目にレッスンに取り組み、結果も出し、文句の一つも言わない超模範メンバーだったのに、何故…?

涙を堪えて先生へ理由を聞きに行ったゆーわん。

返ってきた言葉は

「ゆーわちゃんは歌も英語もダンスも上手で本当に完璧。だけど、一つだけ足りないものがある。それはリーダーシップだ」

月齢の低さに加え、元々性格の幼いゆーわん。

残ったメンバーの中で上のクラスへ配属されたのは毎回レッスンの度に友達を泣かせるいじめっ子だった。

そして毎レッスン泣かされていたゆーわんの友達は残ったメンバーの中で誰よりもダンスの上手な子だったのに、ゆーわんと同じく性格の幼さを理由に下のクラスへの配属だった。

気の強いいじめっ子はリーダーシップがあると判断され、いじめられる子やおとなしい子はどんなに真面目に頑張って結果を出してもリーダーシップがないと判断され下のクラスへ落とされる…

リーダーシップって、何なんだろう…

ミュージカル映画が大好きなゆーわんにとって、その劇団のミュージカルに出演する事は大きな目標のひとつでした。

だけど下のクラスへ配属されるとミュージカルのオーディションを受ける事すら許されない。

屈辱の下のクラスで過ごした約半年間。

下のクラスでも高学年のお姉さんたちをおさえて主役を取ったゆーわんだったけれど、彼女の顔から笑顔は消えていました…

その後KCEへ移り、少しずつ笑顔を取り戻したゆーわん。

優しい先生方やスタッフの皆さん。

少人数制で楽しいレッスン。

スリムでお洒落で可愛い女の子たちや格好いい男の子たち。

他の子たちのようにファッションショーに出演したり本当のモデルとしての実績なんて何一つなく、実力の伴わない赤Tシャツかもしれない。

(KCEでは白→赤→黒とランクが上がる毎にTシャツの色が変わります)

でもね、ゆーわんにとって、この赤Tシャツは特別なんです。

やっとやっと、ひとつ上へ上がれた。

1年前の春は涙、なみだ、ナミダ…

咲き誇る桜の花を見ても何も感じられなかった。

だけど今年は、心から笑顔で大好きな桜の花を見られる。

よかったね、ゆーわん。

赤Tシャツおめでとう。

これからも、笑顔いっぱいで、楽しく日々を過ごそうね。

naoco inoue

potter artist

0コメント

  • 1000 / 1000